狼と香辛料
読み : オオカミトコウシンリョウ
『狼と香辛料』は支倉凍砂(はせくらいすな)によるライトノベル作品。
第12回電撃小説大賞銀賞を受賞し、『狼と香辛料』『狼と香辛料Ⅱ』の2期でアニメ化。
中世ヨーロッパ風の世界を舞台とし、旅の行商人クラフト・ロレンスと狼の耳と尻尾を持った少女の姿をした狼神ホロの物語。
狼と香辛料の由来・意味
『狼と香辛料』という一風変わったタイトルは、フランスの歴史家ジャン・ファヴィエ作の『金と香辛料―中世における実業家の誕生』という中世ヨーロッパ経済史が由来となっている。支倉凍砂は『金と香辛料』を読んだことをきっかけに、中世ヨーロッパ風の世界で経済を取り扱った作品を書いてみたいと考えたそう。
タイトルは『金と香辛料』がはっきりと由来となっているが、内容は他の中世ヨーロッパに関する書籍を30冊ほど資料として参考にして執筆されているため、内容は『金と香辛料』1冊に大きく似通っていたり元ネタになっているわけではない。
『金と香辛料』というタイトルは大航海時代に香辛料は金と同等の価値があったことに由来する。『狼と香辛料』のタイトルの狼は言わずもがなホロを、香辛料は行商人のロレンスを表している。
ネタバレ注意
※作中ではロレンスがミローネ商会のトップに報酬支払い方法について銀貨で良いかと問われ胡椒での支払いを求めた際、ミローネ商会のトップが語ったある戯曲から香辛料の意味が語られた。その戯曲とはこういう内容。
この話を聞いたロレンスは「早く香辛料が効いた体になりたい」と返す。
つまり貨幣と同価値のある香辛料を多く取り扱えるほど立派な商人になりたいという意味である。
ホロの言葉遣いの元ネタ
ホロの「わっち」「~でありんす」といった独特な言葉遣いは、安野モヨコのマンガ『さくらん』が元ネタになっている。ホロが使っているのは廓詞(くるわこどば)、または花魁詞(おいらんことば)と呼ばれる言葉遣い。江戸時代の遊郭・吉原で遊女が使っていた言葉。作者の支倉凍砂いわく、廓言葉の言葉遣いの魅力の奥深さに気づいたことからホロのあの言葉遣いが生まれたそう。