『彼方のアストラ』のオマージュ作品
読み : カナタノアストラ
【目次】
『彼方のアストラ』のオマージュ作品
『彼方のアストラ』は、萩尾望都のSFマンガ『11人いる!』をオマージュしているといわれる。
ほかにも、ジュール・ヴェルヌのSF小説『十五少年漂流記』、藤子・F・不二雄のSF短編『宇宙船製造法』、アニメ『無人惑星サヴァイヴ』をオマージュしているとも。
『彼方のアストラ』の作者である篠原健太は、『11人いる!』を元ネタと明言しているわけではないが、『マンガ大賞2019』の授賞式でオマージュをにおわせる発言をしている。
篠原健太:
指摘される『11人いる!』は好きな作品で、パロディめいたセリフも入っています。
あと、言われるのがアニメの『無人惑星サヴァイヴ』ですが見たことはありません。
『インターステラー』や『ゼロ・グラビティ』は画面にも影響が出ていると思います。
同記事では、藤子・F・不二雄のSF短編『宇宙船製造法』が着想の源流でもあるとも書かれている。『無人惑星サヴァイヴ』に関しては、観たことがないとのことなので、オマージュではないだろう。
ビジュアル面で影響を受けたのは、『インターステラー』と『ゼロ・グラビティ』とのこと。
クリストファー・ノーラン監督『インターステラー』(2014年公開)。『彼方のアストラ』では、ワームホールに吸い込まれるシーンで影響を受けているのだろうか。
アルフォンソ・キュアロン監督『ゼロ・グラビティ』(2013年公開)。『彼方のアストラ』で、主人公のカナタらが宇宙空間に投げ出されるシーンは、『ゼロ・グラビティ』に影響を受けているのだろうか。
『宇宙船製造法』へのオマージュ
『宇宙船製造法』は、『藤子不二雄少年SF短編集』の第3巻に収録されている短編マンガ。
本作は、宇宙船が故障し、8人の乗組員が宇宙で遭難するストーリー。通信機器も故障し、外部と連絡が取れない状態となる。
宇宙船が遭難する、生き残るために惑星で食料を確保する、といった点がオマージュの要素として考えられる。
藤子不二雄少年SF短編集 (第3巻)『十五少年漂流記』へのオマージュ
『十五少年漂流記』に関しては、単行本5巻に掲載の設定資料集にて、オマージュしている旨が明かされている。
設定資料によると、もともとは『十五少年漂流記』になぞらえてキャラクターが15人の設定であったが、企画が短期集中連載に路線変更となったため、9人に減らしたそうだ。
企画は一発でボツになったが、作者の篠原健太はWebマンガ誌の『少年ジャンプ+』で連載したいと訴え、日の目を見ることになった。
設定資料集は単行本5巻に掲載されている。
『11人いる!』との類似点
『彼方のアストラ』が萩尾望都の『11人いる!』をオマージュしているといわれるのは、作品の設定部分にある。
『彼方のアストラ』
・9人の少年少女が宇宙船で遭難
(高校の惑星キャンプの途中で遭難事故に遭うが、果たして…)
・9人のうち誰かが通信装置を破壊し、犯人探しが始まる
『11人いる!』
・11人の少年少女が、漂流中の宇宙船に閉じ込められる
(宇宙大学の入試最終テスト。外部とのコンタクトが不可能な状態で53日間を過ごし、協調性をテストされる)
・10人一組のはずが11人おり、誰が11人目かをお互い探り始める
人数は違うが、宇宙船で遭難(漂流)し、紛れ込んだ異分子のせいでお互い疑心暗鬼になるという設定は類似している。
『彼方のアストラ』の1巻で、ルカ・エスポジトが「何かの試験とかじゃないすか?」と発言するシーンがある。『彼方のアストラ』の遭難はテストではないが、『11人いる!』のオマージュともとれるセリフ。
少しネタバレになってしまうが、男でも女でもない「インターセクシャル(性分化疾患)」の組員が登場する点も共通している。
『彼方のアストラ』の作品情報
『彼方のアストラ』は、Webマンガ誌『少年ジャンプ+』にて連載された作品(2016年5月9日〜2017年12月30日)。SFマンガでありながら、ミステリー・サスペンスの要素も取り入れている。
一部エピソードは『少年ジャンプ+』にて無料で読める。
彼方のアストラ – 少年ジャンプ+
37話で『彼方のアストラ』のタイトルの意味が明らかになり、伏線回収が見事だとネット上で話題に。作者の篠原健太(@kentashinohara_)は本作の連載に合わせてTwitterアカウントを取り、SNSでPRしたことも口コミで広がるきっかけとなった。
『受賞歴』
マンガ大賞2019・大賞
第3回次にくるマンガ大賞・Webマンガ部門・5位
このマンガがすごい!2019・オトコ編・3位
『彼方のアストラ』に登場する惑星の名前には由来がある。詳しくはこちらの記事で解説。
→『彼方のアストラ』の惑星の名前の由来