ブギーポップは笑わない
読み : ブギーポップハワラワナイ
【目次】
ブギーポップとは・意味
ブギーポップという名前は、作中では「不気味な泡」と訳している。
ぼくは自動的なんだよ。周囲に異変を察したときに、宮下藤花から浮かび上がって来るんだ。だから、名をブギーポップ《不気味な泡》という
引用:ブギーポップは笑わない 《1巻 P43》
6巻の「ブギーポップの誕生」では、合成人間のスケアクロウが統和機構の暗殺者から隠れていた時に出会った、子供の姿をした影との会話で、このように話している。これが「不気味な泡」=「ブギーポップ」の誕生。
スケアクロウ:
おまえは…なんなんだ?影:
君は死神と言ったねスケアクロウ:
……まあ、たぶん幻覚なんだろうさーーー
死に際に見え、聞こえるって言うまぼろしだ
泡みたいなもんで、すぐにはじめて消えてなくなる儚い願望だーーー
ずいぶん不気味だがな影:
不気味な泡、と言うわけかい引用:夜明けのブギーポップ 《6巻 P66》
これらは作中におけるブギーポップの意味、および由来の解説で、何を元ネタにしているかは明らかにされていない。
ブギーポップ=イギー・ポップが元ネタ説
作中では「ブギーポップ」=「不気味な泡」としているが、各単語の意味はこのようになる。
【Boogie(ブギー)】
「Boogie(ブギー)」は、音楽で跳ねるようなリズムで演奏される「ブギウギ」のこと。アメリカでは、夜になっても寝ない子供を寝かしつける時に、 「ブギーマン(不気味な男)」が来て、さらわれるよ!」と脅すという習慣があるそうだが、「ブギー」を「不気味な」という意味で使うことは、あまりないようだ。
参考:boogieの意味・使い方|英辞郎 on the WEB:アルク
【Pop(ポップ)】
「Pop(ポップ)」は、「(泡などが)弾ける」「(ポンという)音がする」という意味の英単語。炭酸水などの「泡立つ飲料」を指す名詞でもあるが、「ポップ」=「泡」というわけではない。
参考:popの意味・使い方|英辞郎 on the WEB:アルク
単語の意味を調べると、「ブギーポップ」=「不気味な泡」というのは、訳として少々無理があることがわかる。
では、ブギーポップはどういった経緯で生まれた言葉なのか?
推測になるが、「ブギーポップ」という名前は、イギリスのロックシンガー、イギー・ポップが元ネタだと考えられる。
単語の意味から考えるに、「ブギーポップ」=「不気味な泡」というのは少々強引な意味付けであるため、イギー・ポップをもじり、意味を後付けしたのかもしれない。
作中にハードロック、プログレッシヴ・ロック、R&B、ヒップホップ、クラシックなど、さまざまなジャンルの音楽のネタが散りばめられていることを考えると、イギー・ポップをもじった可能性は十分にあるだろう。
イギー・ポップの楽曲に「Boogie Boy」というタイトルがあるが、もしかしたら、これもブギーポップという名前の由来に関係しているかもしれない。
※ブギーポップ=イギー・ポップが元ネタ説は、あくまでも推測です。
Iggy Pop / 「Boogie Boy」
作者の上遠野浩平はインタビューで、荒木飛呂彦に大きく影響を受けたと話しており、洋楽を聴き始めたのは「ジョジョの奇妙な冒険」がきっかけとのこと。また、音楽好きであることは、3巻のあとがきにも書かれている。
これも推測になるが、「ブギーポップは笑わない」というタイトルは、「ジョジョの奇妙な冒険 Part4 ダイヤモンドは砕けない」が元ネタなのかもしれない。作者の上遠野浩平は荒木飛呂彦に影響を受けていることからも、その可能性はあるだろう。
ちなみに、「ジョジョの奇妙な冒険 Parte5 黄金の風」の後日談であるノベライズ「恥知らずのパープルヘイズ -ジョジョの奇妙な冒険より-」は、上遠野浩平が書いている。
深陽学園のモデル
1巻のあとがき「ブギーポップのいる学校」にて、「ブギーポップは笑わない」の舞台である深陽学園は、自身が見た夢の中の高校がモデルになっている、と綴っている。作者は二十代前半の頃、高校に通っている夢をよく見ていたとのこと。
実際に通っていた高校ではなく、見たこともない高校に二十歳を過ぎて高校に通っているという、不思議な内容の夢だったそうだ。
この夢をモデルにして「ブギーポップは笑わない」を書いたのが二十八歳の時だが、高校を卒業してから10年経っても「学校に何しに行ってたのか」というのがトラウマになっているそうで、「今ならもっとうまく高校生やれるのにな」という思いがあるから、こういう夢を見るのだろう、と自己分析している。
「ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーター」に登場する、「四月に降る雪」の元ネタはこちらの記事で詳しく解説。