甲子園
読み : コウシエン
甲子園は阪神甲子園球場の通称、またその周辺の地域名のこと。
甲子園球場はプロ野球阪神タイガースの本拠地であり、春と夏に行われる高校野球の全国大会の舞台でもある。
兵庫県西宮市南東部の地域名でもあるが、単に「甲子園」というと一般的には「甲子園球場」あるいは高校野球の全国大会を指すことが多い。
甲子園の由来・語源
「甲子園」という名前の由来は、甲子園球場が完成した年と関係がある。
甲子園球場が完成したのは大正13(1924)年8月1日。この年は十干(じっかん、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の順列で、暦の表示などに用いられる)と十二支のそれぞれ最初にあたる「甲(きのえ)」と「子(ね)」が60年ぶりに重なる「甲子(きのえね)」となっていた。これが縁起の良いことだとしてその周辺の地域の名称を「甲子園」、球場名を甲子園球場(当初は甲子園大運動場)と命名した。
アルプススタンドの由来
甲子園球場では内野席と外野席の中間部分の観覧席を「アルプススタンド」と呼んでいる。この名称は甲子園球場独自のものである。
「アルプススタンド」という名前は当時の大阪朝日新聞編集局の藤木九三が考えたもの。アルプススタンドが完成した昭和4年の夏の甲子園大会で、新しいスタンドを白いシャツを着た観客が埋め尽くしたことからそれを見た藤木が「アルプススタンド」と命名した。「アルプス」はもちろんアルプス山脈のことであり、登山家でもあった藤木は白い傾斜を見てアルプスを思い浮かべたのだろう。
そしてこの藤木の話をもとに当時人気漫画家だった岡本一平が朝日新聞に「ソノスタンドハマタ素敵ニ高ク見エル、アルプススタンドダ、上ノ方ニハ万年雪ガアリサウダ」という一文を添えた漫画を掲載し、これが定着していったのである。
岡本一平というのはあの芸術家岡本太郎の父であり、「アルプススタンド」という名称についても、上記の藤木が言った言葉を岡本一平が聞いて漫画にしたという説と、一緒に観戦していた息子の岡本太郎が「アプルスみたいだ」と言ったことからインスピレーションを受けたという説がある。
このアルプススタンド完成から7年後の昭和11年、外野スタンドが拡張された際に同じく朝日新聞で「ヒマラヤスタンド」という愛称が名付けられたが、こちらは定着せず、現在でもこのように呼ぶ人は皆無である。