月が綺麗ですね
読み : ツキガキレイデスネ
「月が綺麗ですね」とは、「I love you.」の日本的意訳。「月が綺麗ですね」=「I love you.」と訳されるのには、こんな逸話がある。
月が綺麗ですねの意味・元ネタ
「月が綺麗ですね」=「I love you.」の元ネタ(翻訳者)は、かの文豪・夏目 漱石だと言われる。
夏目 漱石が英語教師をしていた時、生徒たちは「I love you.」を「我君を愛す」や「僕は、そなたを、愛しう思う」と訳した。それを聞いた夏目 漱石は、「日本人はそんなことは口にしない。月が綺麗ですねとでも訳しておきなさい」と言ったとされる。
この逸話から「I love you.」=「月が綺麗ですね」という表現が生まれたとされ、遠回しに告白する時に使われるとか使われないとか。
ただ、本当に夏目 漱石が「I love you.」を「月が綺麗ですね」という訳したのかを示す明確な出典は見つかっておらず、漱石自身の作品にも登場していない。確認できる最も古い出典としては、1977年11月1日に発行されたSF雑誌『奇想天外』にて連載された豊田 有恒のSFエッセイ『あなたもSF作家になれるわけではない』。
夏目 漱石:
日本人は、そんな、いけ図々しいことは口にしない。これは、月がとっても青いなあ――と訳すものだ出典:「月が綺麗ですね」検証
ご覧のように本エッセイでは、「月が綺麗ですね」という表現は使われておらず、漱石が口にしたのは「月がとっても青いなあ」となっている。本書が出版されたのは1977年、漱石が英語教師になったのは1893年で亡くなったのは1916年。死去してから60年以上経過してから出版されているため、本当に漱石が口にしたのかは検証の余地がある。
ちなみに、「月が綺麗ですね」を英語にすると「The moon is beautiful.」となる。外国人に「The moon is beautiful.」と言っても「Huh~?」と返されるだけだろう。
愛の告白の表現として、「月が綺麗ですね」とセットで「死んでもいいわ」がしばしば使われる。二葉亭四迷が「I love you」を訳したとされているが、実は間違いであったことが判明(二葉亭四迷が訳した言葉であることは間違いないが)。詳しくは以下の記事で解説。