桜の木の下には死体が埋まっている
読み : サクラノキノシタニハシタイガウマッテイル
「桜の木の下には死体が埋まっている」は、都市伝説のように語られる、あるいは怪奇のネタとして語られる一種のうわさ話である。
桜の木の下には死体が埋まっているの元ネタ
「桜の木の下には死体が埋まっている」という表現は、明治時代の小説家・梶井基次郎の短編小説『櫻の樹の下には』の冒頭の文章が元ネタになっている。
『櫻の樹の下には』は、以下の一文で始まる。
桜の樹の下には屍体が埋まっている
『櫻の樹の下には』は、1928年(昭和3年)に発行された季刊誌『詩と詩論 第二冊』12月号に掲載され、1931年(昭和6年)5月刊行の梶井基次郎の短編作品集『檸檬』に収録された。
『櫻の樹の下には』を要約すると、桜があれほど美しいのには何か理由がある、と桜の美しさに不安を感じる主人公が、死体という醜いものが樹の下に埋まっていると想像することで不安から解放される、という内容である。
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→櫻の樹の下には
「桜の木の下には死体が埋まっている」という表現は、梶井基次郎の『櫻の樹の下には』が元ネタではあるが、「桜染め」という染色手法がその話の元ネタになっているのでは、という話もある。
「桜染め」は、桜の花が咲く前の小枝を炊いたり冷ましたりして熟成させ、ピンク色だけを取り出して染色する手法。昔からの俗説で、桜の花びらはもともとは白いが、桜の木の下には死体が埋まっていて、死体から血を吸うことで桜の花はピンク色になるのではないか、という話があったそうだ。
「桜染め」は花びらから染色するのではなく、枝が含むピンクの色素を使って染色をする手法であるため、枝には死体から吸いあげた血が含まれていて、抽出したピンク色は血の色ではなかろうか、というちょっとした怪談話のように噂が広まっていったのだろう。
「桜染め」にまつわるうわさ話然り、『櫻の樹の下には』然り、幻想的な美しさを持つ存在には美しいと思うと同時に恐怖を感じ、美しさには何か理由がある、たとえば死体のような対局となる醜い存在があるのではないか、と考えたくなるのだろう。