カワウソイヤァ(カワウソイヤ)

読み : カワウソイヤァ

『カワウソイヤァ』は、アニメ『さらざんまい』の劇中歌。新星 玲央と阿久津 真武の二人が「カワウーッ ソイヤァ!」と歌いながら踊る曲。第二皿「つながりたいけど、奪いたい」でお披露目された。

『カワウソイヤ』『カワウソイヤー』などの表記揺れがあるが、正しくは『カワウソイヤァ』である。
さらざんまいのうた/カワウソイヤァ

『カワウソイヤァ』は、動物のカワウソと祭りの掛け声「ソイヤ!」を掛けたタイトルとなっている。玲央と真武が歌っている際に、カワウソのシンボルが幾度も登場する。フェレットではない。

ちなみに、玲央と真武が勤務する交番は、マンガ版では浅草皿交番であったが、アニメ版では川嘘交番に変わっている。川嘘…カワウソ…。これは何を意味するのか? パラレルワールドか?

マンガ版を読むと、冒頭で玲央が「浅草皿交番勤務の警察官」と自己紹介しているのがわかる。

参考:レオとマブ ~ふたりはさらざんまい~

なぜカッパの話にカワウソが登場するのか?

『さらざんまい』には、シンボルとしてカワウソが登場する。上述したように、『カワウソイヤァ』もカワウソと掛けたタイトルであることは明らか。

では、なぜカッパの話にカワウソが登場するのか?

ここからは推測・考察になるが、以下の3つの理由が考えられる。

カワウソは化けるという伝承

狐や狸、猫が人を化かすのは有名な伝承だが、「獺(カワウソ)は化ける」という伝承もある。

日本の文化・歴史を研究している国際文化研究センターの「怪異・妖怪伝承データベース」には、以下のように書かれている。

かわうそは猫科だから上手に化ける。一つ目小僧や六尺坊主にも化ける事ができる。

出典:かわうそ / 怪異・妖怪伝承データベース

ここには人に化けるとは書かれていないが、カワウソが化けるという伝承があるのを確認できる。
※正確には、カワウソは食肉目(ネコ目)イタチ科カワウソ亜科の動物なので、ネコ科ではない。

また、「カワウソが美女に化ける」という話もある。カワウソが美女に化けるという話は、『裏見寒話』『太平百物語』『四不語録』といった江戸時代の物語・図録で描かれているそうだ。

この伝承を『さらざんまい』と結びつけると、作中ではカワウソが人間に化けている可能性が出てくる。玲央と真武の正体はカワウソなのだろうか?

あくまでも考察であるが、矢逆 一稀が吾妻 サラに女装するのは、「カワウソが美女に化ける」という伝承が元になっているのかもしれない

カッパの正体はカワウソという伝承

河童(かっぱ)の正体は獺(かわうそ)である」という興味深い伝承もある。室町時代の国語辞典『下学集』には、「獺が老いると河童になる」と書かれており、カワウソ=カッパ説は古くからあるようだ。

こちらは、国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧できる『下学集』の写し。2巻に該当の記述がある。

ページ左、赤枠の部分に「獺老而成河童者」と書かれている。現代語に訳すと、「獺(カワウソ)老いて河童(カッパ)に成る」という意味。

このように、古くからカワウソの正体はカッパであると考えられていたようだ。

※余談だが、ニホンカワウソは乱獲に数を減らし、2012年(平成24年)に絶滅種に指定された。

『さらざんまい』が、「カッパの正体はカワウソである」という伝承を取り入れているのであれば、作中に登場するカッパたちの正体は…という話になる。

であれば、カッパ型生命体のケッピの正体はカワウソ、という可能性も。“カッパ型”なので、元は別の生命体である可能性は十分に考えられる。

芥川龍之介の『河童』が元ネタ?

芥川龍之介の小説『河童』には、河童の仮設敵として獺(カワウソ)が登場する

『河童』は、ある精神病患者が河童の国に迷い込むという話で、人間社会を風刺・批判した作品。本作には、獺(カワウソ)だけでなく巡査も登場するため、『さらざんまい』の世界観の元ネタになっている可能性がある

芥川龍之介の『河童』は、青空文庫で無料で読める。

芥川龍之介『河童』 / 青空文庫

『さらざんまい』が芥川龍之介の『河童』を元にしているのであれば、カッパ対カワウソという構図が推測される。作中には「カワウソは立入禁止」という立て看板も登場しているので、カッパとは対立関係にあるのかもしれない。

※ネタバレになるので記載しないが、小説版を読めばこの答えがわかる
さらざんまい(上) / Amazon

はたして、作中にたびたび登場するカワウソのシンボルは、何を表しているのか?

「かわうそいや」を訳すと「I love you」?

「かわうそいや」をGoogle翻訳で英語に訳すと「I love you」になるそうだ。ほんまかいな…。というわけで訳してみた。

「かわうそいや」のGoogle翻訳は「I love you」

ほんまや…。これは意図的なのか偶然なのか…。もちろん画像の改ざんなどはしていない。疑っている方はGoogle翻訳を試してほしい。

ほかにも、「ふたりはさらざんまい」とGoogle翻訳で英語に訳すと、「Two are happy」になるという情報も。「ふたりはさらざんまい」は、レオとマブのこと。ふたりがhappyであるなら…。

玲央と真武のTwitterアカウント名・@keeponly1luvは、あるタバコの銘柄が由来となっている。その由来がまた切ない…。
詳しくはこの記事で↓

@keeponly1luv(玲央と真武のTwitterアカウント)の由来

『さらざんまい』のカワウソ関係の考察まとめ

『さらざんまい』の主人公三人の名前の由来と、タイトルの意味(考察)はこちらの記事で解説。

『さらざんまい』のタイトルの意味、主人公三人の名前の由来

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