敗北を知りたい

読み : ハイボクヲシリタイ

「敗北を知りたい」とは

「敗北を知りたい」とは、己の強さを誇示するための言葉である。

力・頭脳・運など、能力が突出しているがゆえに敗北を知らない。そんな強き者だけが使うことを許される言葉が「敗北を知りたい」。

主に、ソシャゲで圧倒的な強さで勝利を収めた時、ガチャの引きが良かった時などに使われる。「敗北知りたい」という表記ゆれがあるが、正しくは「敗北知りたい」。

「敗北を知りたい」の元ネタ

「敗北を知りたい」は、板垣恵介のマンガ『バキ』が元ネタである。『バキ』は『グラップラー刃牙』の続編にあたる作品で、「敗北を知りたい」というセリフは“最凶死刑囚編”に登場する。

「敗北を知りたい」は、”最凶死刑囚編”に登場する五人の死刑囚が発するセリフ。世界各地に収容されていた五人の死刑囚は、同時期に「敗北を知りたい」という言葉を残して脱獄し、引き寄せられるように主人公の範馬 刃牙が住む東京へやって来た。

彼らが「敗北を知りたい」とつぶやいた五人の最凶死刑囚
(左から柳龍光、スペック、ヘクター・ドイル、シコルスキー、ドリアン)

バキ 新装版 4巻の表紙

最凶死刑囚の一人・スペック

五人の死刑囚は、アメリカ・イギリス・ロシア・日本と各地の刑務所に収容されていた。彼らは凶悪な犯罪者という共通点はあるが、個人的にはなんの接点もない。

彼らの唯一の共通点は、「強すぎるがあまりに敗北を知らない」ということ。彼らは驚異的な身体能力を持つがゆえに、手にするのはつまらない勝利ばかりで、自分を上回る強者と対峙することで得られる敗北に飢えていた。

接点のない五人の死刑囚が同時期に「敗北を知りたい」という言葉を発して脱獄をした現象を、作中では「シンクロニシティ」と呼称。「シンクロニシティ」は”最凶死刑囚編”の第一話のタイトルにもなっていて、作中では以下のように解説している。

シンクロニシティ
一見無関係に隔絶された物質や生物
果ては思想が地球規模で同時同様の変化を起こす
そのような現象をそう呼ぶ

出典:『バキ』 第一巻 第一話「シンクロニシティ」より

補足すると、「シンクロニシティ」はスイスの心理学者カール・グスタフ・ユングが提唱した概念で、「意味のある偶然の一致」を指す。日本語では「共時性」や「同時性」と呼ばれる。

「シンクロニシティ」は、因果関係にない”最凶死刑囚編”の五人の死刑囚が離れた場所で同時期に同じ言葉を発するような、偶発的な現象を指す。しかし、非因果的に起きた事象であっても、そうした現象が起きることで偶然性に意味が生まれる(意味のある偶然の一致)、というのが「シンクロニシティ」の考え方。

地下闘技場の支配人である徳川 光成は、死刑囚が発した「敗北を知りたい」という「シンクロニシティ」を、地下闘技場を拠点とする”表の格闘技”と、犯罪の世界を拠点とする”裏の格闘技”による、「白格闘技 VS 黒格闘技」の全面戦争の符牒(ふちょう)であると捉えた。

徳川は地価闘技場でトーナメントを開催し、「敗北を知りたい」と望む彼らに「敗北をプレゼントしよう」と宣言し、バキたちと死刑囚たちのバトルが始まった。

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