夜は短し歩けよ乙女

読み : ヨルハミジカシアルケヨオトメ

「夜は短し歩けよ乙女」は、森見登美彦の小説。第20回・山本周五郎賞を受賞。2017年にアニメ映画化。

夜は短し歩けよ乙女

「夜は短し歩けよ乙女」というタイトルは、大正時代の歌謡曲「ゴンドラの唄」の一節、「いのち短し 恋せよ乙女」が由来である。

「ゴンドラの唄」は、大正4年(1915年)に藝術座で公演されたツルゲーネフ作「その前夜」の劇中歌として作られた曲。「いのち短し 恋せよ乙女」の歌い出しが印象的な曲で、これまでに森繁久彌、小林旭、由紀さおり・安田祥子、遊佐未森など、多くの歌手がカバーしている。

原曲の表記は「いのち短し 恋せよ少女(おとめ)」であるが、歌詞を引用した作品では、「いのち短し 恋せよ乙女」と表記されることが多い。

「ゴンドラの唄」の歌詞

いのち短し 恋せよ少女(おとめ)
あかき唇 あせぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日は ないものを

いのち短し 恋せよ少女(おとめ)
いざ手をとりて かの舟に
いざ燃ゆる頬を 君が頬に
ここには誰れも 来ぬものを

いのち短し 恋せよ少女(おとめ)
波にただよう 舟のよに
君が柔わ手を 我が肩に
ここには人目も 無いものを

いのち短し 恋せよ少女(おとめ)
黒髪の色 褪せぬ間に
心のほのお 消えぬ間に
今日はふたたび 来ぬものを

小林旭によるカバー

「いのち短し恋せよ乙女」を引用した作品

1952年公開の黒澤明監督の映画「生きる」で、主人公がブランコに乗りながら「ゴンドラの唄」を口ずさむシーンがある。ダウンタウンの松本人志とSMAPの中居正広のダブル主演で話題になったドラマ「伝説の教師」の第8話で、ブランコに乗って「ゴンドラの唄」を口ずさむシーンは、「生きる」に対するオマージュ。

クリープハイプが「イノチミジカシコイセヨオトメ」という曲を出しているが、こちらはカバー曲ではない。MOSHIMOの「命短し恋せよ乙女」もカバーではなく、タイトルと歌詞にのみ引用。

クリープハイプの由来

「ブギーポップは笑わない」では、第一巻の序盤にて、紙木城直子がこの唄を歌うシーンが描かれている。紙木城は恋多き女の子で、本作の語り部である竹田啓司と恋愛の話をしている時に、唐突に彼女は歌いだした。
※本作での表記は、「生命みじかし 恋せよ乙女」であった。

「ラ・タ・タ・タム」は実在する絵本

作中で黒髪の乙女が探していた「ラ・タ・タ・タム」は、実在する絵本である。ドイツのペーター・ニクルとビネッテ・シュレーダー夫妻が書いた絵本で、1975年に出版。

「ラ・タ・タ・タム」は小さい白いお嬢さん機関車が主役で、自分を作ったマチアスという発明家を探すというお話。「ラ・タ・タ・タム」というのは、出発の合図や機関車が走る音(ガタンゴトンのような)として表現されている。

ラ・タ・タ・タム

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