エロイムエッサイム
読み : エロイムエッサイム
「エロイムエッサイム」は悪魔を呼び出す際に唱える呪文。アニメ/実写『悪魔くん』で主人公の悪魔くんが悪魔を呼び出す際に唱える、
「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり!」という呪文で有名。また、山田風太郎の伝奇小説『魔界転生(まかいてんしょう)』においてもこの呪文が用いられている。
「エロ」という言葉が含まれているが、決してエロスを感じさせる呪文ではないのでご注意を。
【目次】
エロイムエッサイムの由来・意味
「エロイムエッサイム」はグリモワール(”魔術の書物”を意味するフランス語)に書かれた悪魔召喚のための呪文。卵を産んだことのない黒い雌鳥を2つに引き裂き、「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」と唱えることで悪魔を召喚できるという。
原文は「Eloim, Essaim, frugativi et appelavi.」であり、本来は「エロイム」と「エッサイム」は別の単語である。澁澤龍彦の書『黒魔術の手帖』では「エロヒムよ、エサイムよ、わが呼び声を聞け」と記述されている。
悪魔くん版エロイムエッサイム。アニメでは「エロイムエッサイム」を2回唱えるが、実写版では1回であった。
「エロイムエッサイム」の出典
「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」の出典に関してはグリモワールのひとつ『The Black Pullet(黒い雌鳥)』に書かれているとする情報が多いが、『The Grand Grimoire(大奥義書)』の異本である『The Red Dragon(赤い竜)』に書かれているとされる。
『大奥義書』にて「Eloim, Essaim」を3度唱えると記述があり、『赤い竜』で「Eloim, Essaim, frugativi et appelavi.」と唱えるという記述があるようだ。儀式で黒い雌鶏を用いるため『黒い雌鳥』が出典だとされることが多いと考えられる。
※「frugativi et appelavi(フルガティウィ・エト・アッペラウィ)」
参考:森瀬繚 @Molice さんによる魔術書『赤竜』(エロイムエッサイムの出典)、『大奥義書』について
以下のPDFで読める『The Grand Grimoire』では確かに「EROHIM、ESSAIM」を3回唱えるという記述が見られるが、「frugativi et appelavi.」にあたる部分は見当たらない。『大奥義書』はタリズマン(護符)と指輪を使った魔術や黄金を発見するという黒い雌鶏の育て方について書かれている。
The Grand Grimoire(PDF)
「Elohim」「Essaim」の意味
「Elohim」はヘブライ語で「神」を意味する。「Elohim」は「神」を意味する「El」と複数形を表す接尾語の「-im」を合わせた言葉であり、複数の神という意味ではなくキリスト教において父、子、聖霊をひとつの神格とする「三位一体」における神を表している。
「Essaim」はフランス語で「群れ」の意味で使われるが、ヘブライ語としての解釈はいくつかある。「悪魔」という解釈や、古代イスラエルの王・ダビデの父であるエッサイ(Jesse)の複数形(「Je」→「E」=Jesse→Esse+複数形「-im」)であるという解釈があるが、ハッキリとした意味は分かっていない。「エロイムよ、エッサイムよ」と呼びかける呪文であることから、神または悪魔など何らかの神格を意味する言葉と思われる(悪魔も神であり悪神を意味する)。
四月は君の嘘
マンガ / アニメ『四月は君の嘘』にて、ヒロインの宮園 かをりがコンクールの演奏前に「エロイムエッサイム エロイムエッサイム 我は求め訴えたり」とつぶやくシーンがある。