まるで将棋だな

読み : マルデショウギダナ

「まるで将棋だな」の元ネタはアニメ版「異世界スマホ」

「まるで将棋だな」とは、アニメ版の「異世界はスマートフォンとともに」に登場するセリフが元ネタである。原作にはない、アニメ版オリジナルのセリフ

「まるで将棋だな」は、アニメ版の第3話「将棋盤、そして地下遺跡。」に登場する

主人公の望月 冬夜たち一行は、地下遺跡で眠っていた水晶の魔物を起こしてしまう。この魔物は、強度が高く物理攻撃も効かず、さらに魔法を吸収して再生する能力まで備えている難敵であった。

冬夜は、魔力を奪って再生するこの魔物をどう攻略するか考えあぐねている時、こんなことを言いだした。

冬夜:
魔法を吸収し、非常に硬い強度、何か弱点はないのか…

エルゼ:
再生するんじゃどうしようもないわ…

冬夜:
僕たちの魔力を奪って再生か
フッ…まるで将棋だな
(はっ!!)
そうか!王を取れば!

出典:アニメ「異世界はスマートフォンとともに。」 第3話「将棋盤、そして地下遺跡。」より

この後、冬夜は小物を引き寄せる魔法・アポーツを唱えて敵のコアを取り出し、エルザが物理攻撃で破壊して倒した、という結末。

これを読んで「?????」と思った方が大半であろう。大丈夫、この回を最初から観ていても「?????」なのだから。

最初からこの回を観ていた視聴者でさえ、「まるで将棋だな」というセリフに「?????」となり、ニコニコ動画では大量に「は?」というコメントが書き込まれた

実は、この回の前半パートでは、宿屋「銀月」の店主・ドランと武器屋のバラルが将棋を指すくだりが描かれていて、これに関連付けたセリフが「まるで将棋だな」というわけ。

原作だと第三章「水晶の魔物」にあたる話で、将棋を指すシーンも原作にある。冬夜が「モデリング」という能力で将棋盤を作ったところ、おじさん二人が興味を示し、将棋のルールを教えたらハマってしまった、というのが大まかな流れ。

しかし、問題はここから。原作でアニメ版の「まるで将棋だな」に該当するセリフを探しても、どこにも見当たらない。水晶の魔物とのバトルは原作通りではあるが、「まるで将棋だな」の部分は、以下のように書かれている。

冬夜:
(再生能力を持ち、魔法を吸収し、異常な硬さの強度…
どうやって倒す…? なにか弱点はないのか?)

エルザ:
いくら体を砕いても再生するんじゃどうしようもないわ…

冬夜:
そういえば…あいつを見かけたときは体が砕けたままだったな…
どうしてだ…?

(確か…リンゼの魔法を吸収して、それから再生した…
再生するのに魔力を必要とするのか
そういえば、あの時も内部の球が光っていたな
ひょっとしてあの本体にある赤い球が「核」になっているんじゃ)

出典:異世界はスマートフォンとともに。1 第三章「水晶の魔物」より

この後の展開はアニメ版と同じで、アポーツを使ってコアを取り出し、エルザが拳で破壊するという流れ。

お読みいただいてわかるように、原作には「まるで将棋だな」というセリフは書かれていない。同じく、マンガ版でも「まるで将棋だな」というセリフはなく、アニメ版の脚本を担当した高橋ナツコが書き加えたものと思われる

もうひとつアニメオリジナルのセリフがあるのだが、それは、地下遺跡に入る前、冬夜が公爵に将棋を教えた時に、公爵が発した「敵の駒を奪えば軍を再生できるのだな」というセリフ。

これを問題の「まるで将棋だな」に結びつけるとすれば、

「水晶の魔物は魔力を吸収するやん」
     ↓
「将棋で敵の駒を奪って自陣の兵力を再生するのと似てるやん」
     ↓
「これって、まるで将棋やん」
     ↓
「せや、敵の『王』を奪えば勝てるやん」

ということなのだろう。かなり強引なこじつけである。そもそも、敵は魔法を吸収するのだから、魔法でコアを奪うこともできないはずでは…。

このように、「まるで将棋だな」は多くの視聴者を混乱に陥れ、ついにはネット用語と化した。Twitterなどで唐突に「まるで将棋だな」とつぶやかれることがあるが、これは「異世界はスマートフォンとともに」のアニメ版が元ネタであることを覚えておこう。

「まるで将棋だな」は、「ネットユーザーが本気で選ぶ!アニメ総選挙2018年間大賞」の流行語大賞で4位にランクイン。

「まるで将棋だな」は、公式にもネタにされていて、『異世界はスマートフォンとともに。 スペシャルライブイベント~まるでライブだな~』と、ライブイベントの副題に使われている。

《こちらのネタもどうぞ》

マンガ・アニメ・音楽・ネット用語・なんJ語・芸名などの元ネタ、由来、意味、語源を解説しています。

Twitter→@tan_e_tan