アブラハムの子

読み : アブラハムノコ

『アブラハムの子』は英語の童謡を原曲として日本語の歌。幼稚園や保育園のお遊戯などでよく使われる。

「アブラハムには7人の子〜」という歌詞を繰り返しながら体を動かして遊ぶ歌。1番は右手、2番は右手と左手、3番は右手と左手と右足、というように歌が進むごとに動かす部分を増やしていく。

『アブラハムの子』の原曲はアメリカの童謡『Father Abraham』であるとされる。

日本語の歌詞は日本YMCA(キリスト教青年会)のレクリエーション・リーダーであった加藤孝広氏が手がけたとされているが、詳細は不明。『およげ!たいやきくん』で有名な子門真人が『アブラハムの子』のタイトルでレコード化しており、そのジャケットに作詞・作曲・翻訳者を探したが見つからなかったという旨が書かれている。

アブラハムの子-子門真人

ただ、原曲のメロディと日本語版のメロディが少し異なっており、さらに原曲の歌詞と日本語の歌詞では異なる部分が多い。さらに原曲の『Father Abraham』は歌詞のバージョンが複数あるため正確な原曲は不明だが、『アブラハムの子』は後記する「歌詞バージョンその2」の方が近いようだ。

「歌詞バージョンその1」は「Father Abraham had many sons(父なるアブラハムは子だくさん」という歌詞だが、「歌詞バージョンその2」は「Father Abraham had seven sons(父なるアブラハムには7人の子)」となっている。以降の歌詞はそれぞれ異なっているが、いずれも日本語の歌詞と一致しない。

子門真人『アブラハムの子』

『Father Abraham』

【アブラハムの子】

*アブラハムには7人(しちにん)の子
1人はのっぽで あとはちび
みんな仲よく暮らしてる
さあ踊りましょう*

右手(右手)

(*繰り返し)

右手(右手)
左手(左手)

(*繰り返し)

右手(右手)
左手(左手)
右足(右足)

(*繰り返し)

右手(右手)
左手(左手)
右足(右足)
左足(左足)

(*繰り返し)

右手(右手)
左手(左手)
右足(右足)
左足(左足)
あたま(あたま)

(*繰り返し)

右手(右手)
左手(左手)
右足(右足)
左足(左足)
あたま(あたま)
おしり(おしり)

(*繰り返し)

右手(右手)
左手(左手)
右足(右足)
左足(左足)
あたま(あたま)
おしり(おしり)
回って(回って)

(*繰り返し)

右手(右手)
左手(左手)
右足(右足)
左足(左足)
あたま(あたま)
おしり(おしり)
回って(回って)
おしまい

【Father Abraham】

『歌詞バージョンその1』
*Father Abraham had many sons
Many sons had Father Abraham
I am one of them and so are you
So let’s all praise the Lord*
(父なるアブラハムは子だくさん
子だくさんの父なるアブラハム
私はその一人 あなたもその一人
さあ主を讃えましょう)

『歌詞バージョンその2』
*Father Abraham had seven sons
had seven sons, had Father Abraham
and they never laughed
and they never cried
all they did was go like this*
(父なるアブラハムには7人の子
7人の子を持つ父なるアブラハム
子供らは笑わないし 泣かない
みんなこうして踊ってた)

《以下、バージョンその1、またはその2のいずれかを繰り返し》

Right arm

(*繰り返し)

Right arm
Left arm

(*繰り返し)

Right arm
Left arm
Right foot

(*繰り返し)

Right arm
Left arm
Right foot
Left foot

(*繰り返し)

Right arm
Left arm
Right foot
Left foot
Chin up

(*繰り返し)

Right arm
Left arm
Right foot
Left foot
Chin up
Turn around

(*繰り返し)

Right arm
Left arm
Right foot
Left foot
Chin up
Turn around
Sit down

※「Chin up」=「顎をあげる」

アブラハムとは誰なのか?

では原曲に出てくる「Father Abraham(父なるアブラハム)」とは誰なのか?

これは聖書に登場する預言者アブラハムであると思わる。アブラハムはノア、モーゼ、イエス、ムハンマドと並ぶ五大預言者の一人。伝承では175歳まで生きたそう。

日本語版の『アブラハムの子』の作詞者とされるのが日本YMCA(キリスト教青年会)であることから、原曲の『Father Abraham』はキリスト教に関係する歌詞であると思われる。

では、「アブラハムの7人の子」というのは誰なのか?

アブラハムにはサライという正妻とハガルという妾の間に8人の子供がいた。

【正妻サライとの間にできた子】
・ジムラン
・ヨクシャン
・メダン
・ミディアン
・イシュバク
・シュア
・イサク

【ハガルとの間にできた子】
・イシュマエル

「アブラハムの7人の子」という歌詞から推測するに、サライとの間にできた7人の子を指していると思われる。

アブラハムとサライ、ハガルの関係は非常にややこしく、アブラハムとサライは子宝に恵まれなかったため、75歳という高齢になったサライは夫に若い女奴隷のハガルと床入りを勧め、ハガルはイシュマエルを身ごもることになった。

しかしその後、90歳になったサライがアブラハム(この時100歳)の子を身ごもり、127年の生涯で7人の子に恵まれることとなる。するとサライは妾のハガルとイシュマエルが邪魔になり、母子を砂漠に放逐するという鬼畜の所業をなす。

この伝承から、作詞者は妾の子であるイシュマエルは仲間はずれにして、正妻のサライとの間にできた7人の子を歌詞にしようと考えたのだと推測される。かわいそうなイシュマエル…。

The Pinocchio

『アブラハムの子』のメロディと歌詞は英語歌の『The Pinocchio(ピノキオ)』に近いが、『The Pinocchio』には「アブラハムには7人の子〜」という歌詞は登場しないし、そもそも『The Pinocchio』がいつごろからある曲なのかが分からない。

調べた限りでは『The Pinocchio』はそれほど古い曲ではなさそうで、おそらく2000年以降にできた曲だと思われる。

ただ、『The Pinocchio』の作曲クレジットは「Traditional」となっているため、本局も『アブラハムの子』と同様に伝統音楽を原曲としているのだろう。

『The Pinocchio』

【The Pinocchio】

*Everybody in. Everybody out.
Everybody turn around. Everybody shout, “Hey!”
Everybody ready? Here we go.
Let’s do The Pinocchio.*

Right arm

(*繰り返し)

Right arm
Left arm

(*繰り返し)

Right arm
Left arm
Right leg

(*繰り返し)

Right arm
Left arm
Right leg
Left leg

(*繰り返し)

Right arm
Left arm
Right leg
Left leg
Chin up

(*繰り返し)

Right arm
Left arm
Right leg
Left leg
Chin up
Turn around

(*繰り返し)

Right arm
Left arm
Right leg
Left leg
Chin up
Turn around
Sit down

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