POP VIRUS(星野源)
読み : ポップウイルス
「POP VIRUS」は、星野源の5枚目のアルバム(2018年12月18日リリース)。
POP VIRUSのタイトルの由来・意味
「POP VIRUS」というアルバムタイトルは、星野源が自身の楽曲「恋」が大ヒットして日本中に広がっていく様を見て、ポップスというウイルスに感染していくみたいだ、と感じたことが由来である。「恋」によって起こったその現象を、今度はアルバムをきっかけに引き起こしたい、という思いがこのタイトルに込められているとのこと。
この由来は、星野源が雑誌『ダ・ヴィンチ 2018年12月号』に掲載されたインタビューで語っている内容で、実は「POP VIRUS」というタイトルには元ネタがあるそう。それは、ライターの川勝正幸氏の著書「ポップ中毒者の手記(約10年分)」というコラム。その表紙に「Pop Virus」という言葉が使われている。
最初は、何も参考にせず「Pop Virus」という言葉を思い付いたそうだが、どこかで聞いたことがある言葉だと思って調べてみると、川勝正幸氏のコラム集の表紙に使われていた言葉であることがわかったそうだ。
川勝正幸氏とはSAKEROCK(星語源がリーダーを務めていたバンド・2015年解散)で活動していた頃から付き合いがあり、CDのライナーを書いてもらったりしていたそうだ。
星野源いわく、川勝正幸氏は「ポップカルチャーを世の中に感染させていった人」であり、川勝氏の文章から感染したものを、今度は自分が音楽を通して誰かに感染させたい、という想いも込めて「POP VIRUS」というタイトルにした、と本誌のインタビューで語っている。
「POP VIRUS」というタイトルには、「恋」が大ヒットしたことで経験した痛みも込められているそうだ。本来の自分とは乖離したイメージが一人歩きしてしまい、メディアには創作を事実として語られ、自分ではない自分が世の中に増殖していき、自分自身が蝕まれて病んでいくような感覚があった、と星野源は言う。ポップ(大衆的)な存在になったことで生じる虚構もまた、「POP VIRUS」による現象のひとつ。
「Pop(ポップ)」という明るい言葉と対比するように、「Virus(ウイルス)」という暗い言葉を組み合わせた、「POP VIRUS」というアルバムタイトル。その陰と陽のバランスが、本アルバムのイメージに合っている、と星野源は語っている。
※川勝正幸氏は、2012年に不慮の事故によって逝去。川勝氏は東京のカルチャーシーンに大きな影響を与えた方で、六度目の命日である2018年1月31日に開催された「POPHOLIC NIGHT dedicated to Masayuki Kawakatsu」では、スチャダラパー、いとうせいこう、EGO-WRAPPIN’、高木完、ceroなど、生前に親交が深かったアーティストが集った。
タイトル曲「POP VIRUS」