TBS式長打率

読み : ティービーエスシキチョウダリツ

TBS式長打率は野球における指標の一つ。『長打率』を語る際に用いられる他、わかりにくい野球用語の話題においてもも欠かせないワード。

TBS式長打率の意味・元ネタ

この『TBS式長打率』は2014年にTBS系列で放送されたドラマ『ルーズヴェルト・ゲーム』が元ネタとなっている。

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ルーズヴェルト・ゲームは池井戸潤の小説をドラマ化したもので、社会人野球が舞台となっている。物語の中心である青島製作所が会社存続の危機に瀕し、それに伴い青島製作所野球部も存続が危ぶまれる事態に。

そんな折に辞任した監督に代わって新たに監督に就任した大道という男が野球部の改革に乗り出す。それまでレギュラーだった選手を外すなどしたことで選手たちから反発を受ける大道だったが、データを用いた理論的な采配であることを説き選手たちを納得させる。

そのデータ野球の重要性を説明する中で出てくるのが『長打率』である。それまで足が遅く打率も低かったために代打でしか使われていなかった選手を大道は四番に抜擢。これを疑問視する声に対して大道は「出塁率は悪くない、長打率となると誰よりも上」と説明。打率だけを見るのではなく出塁率や長打率といったデータを重視した頭の切れる監督であることを示すシーンだ。

しかし、このシーンで『長打率』の説明として表示されたテロップには『2塁打以上のヒットを打つ確率』と表示されていたのである。

TBS式長打率

「長打率」と聞くと直感的には「長打を打つ確率」と思ってしまいがちだが、これは誤りで実際は「塁打÷打数」によって計算される数値。単打を1、二塁打は2、三塁打は3、本塁打は4として塁打数を計算しそれを打数で割ることで、打数あたりの塁打数の期待値を知ることができる。長打率の数値が高いほどより多くの塁を進む打力があるというわけだ。

要するにこのシーンで表示された『長打率』と実際の『長打率』とは全く別のものであり、野球のことを深く理解していそうな監督の話にも関わらず全く理解していないテロップが出てしまっていることでせっかくの良いシーンが台無しになってしまったというわけ。

さらに付け加えると、このシーンの前に監督が各選手の細かいデータを表示したタブレットを用いて選手起用についての説明をするシーンがあるのだが、そこに表示されていた各指標の数値も本来ではありえないような数値が見られたり、野球を題材としたドラマにも関わらずそういった細かい部分を指摘するスタッフはいなかったのかと野球ファンを失望させる内容となってしまった。

しかし実際本来の「長打率」といのは直感的にわかりにくく、野球初心者には誤解されていることも多い。そのためむしろ『TBS長打率』こそを『長打率』にして従来の『長打率』は他の呼び方に変えた方が良いのではないかという声も少なくない。ちなみに英語だと『長打率』は「Slugging percentage」で、「slug」が強打であることから「強打率」と言い換えることもできる。

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