ゴルゴ13(デューク・東郷)

読み : ゴルゴサーティーン

ゴルゴ13はさいとう・たかをによるマンガ作品、およびその主人公であるデューク東郷のニックネーム。「ゴルゴ13」という名前は周りが読んでいるだけで、デューク東郷本人が自分をそう呼ぶことはほとんどない。

『ゴルゴ13』は1968年の連載開始から約50年、一度も休載していない(2018年現在)。

ゴルゴ13(デューク・東郷)の由来・モデル

「ゴルゴ13」というのは「ゴルゴタの丘でイエス・キリストに荊の冠をかぶせて殺した13番めの男」という意味を持っている。

ゴルゴタの丘というのはイスラエルのエルサレムにある別名エルサレムの丘。新約聖書ではこのゴルゴタの丘でイエス・キリストがユダの裏切りを受けて十字架に磔にされたと書かれている。「ゴルゴタ」は「ドクロ」という意味でもある。

13という数字は「13日の金曜日」のように西洋では不吉な数字・忌み数とされている。西洋では12が完全な調和を持つ数字で特別視されているのに対し、その後の13は割り切ることができない素数であり、不吉な数字だと見なされている。イエス・キリストを裏切ったユダも最後の晩餐で13番目の席についた、また、13番目の弟子であったという説もある。

作品のロゴマークの中には荊の冠をかぶったキリストを模したデザインのものも存在している。

また、デューク東郷がかつて収監されていた刑務所で、囚人たちにこのように呼ばれていたという話もある。

刑務所でのデューク東郷の囚人番号1214であったことからその間の13という不吉な数字。そしてその刑務所の独房が、生きてでてきたものはいないとされている独房・通称「ゴルゴタの棺桶」であったことから、それを組み合わせて「ゴルゴ13」と呼ばれるようになったというのである。
どちらも作品の序盤(単行本1〜2巻)で語られている話である。

単行本第103巻収録の「15-34」では、自身をイエス・キリストの生まれ変わりであると自認する自己成長型プログラム「ジーザス」が、デューク・東郷を自分を裏切った「13番目の男」と認識し、核ミサイル攻撃で抹殺を企てるエピソードが描かれている。

※タイトルの「15-34」は、「新約聖書マルコの福音書第15章34節」から。

参照:『ゴルゴ13』 第1巻「ビッグ・セイフ作戦」

また、デューク東郷のビジュアルのモデルは高倉健。1973年公開の映画『ゴルゴ13』では高倉健がデューク・東郷役を演じている。

ゴルゴ13 高倉健

東郷先生をデューク・東郷の名前のモデルにした際のエピソード

作者は中学時代、試験に対して「こんなクイズみたいな問題で人の何が分かるのか」と疑問を抱き、答案用紙はいつも白紙で提出していたそう。学年が変わって新しく担任になった先生から、こう言われた。

白紙で出すのは君の考えやから、それをとやかく言わん。
けど、君はこの白紙の答案を自分の責任でやっているんやな。
それやったら、名前だけは書きなさい。

この言葉は隆夫少年の心に残った。

そして、後の『ゴルゴ13』となる、自分の請け負った仕事を完璧にこなすスナイパーを題材としたマンガを書くことになった時、主人公の名前を何にしようか迷っていると、ふと「名前を書け」といった中学時代の担任教師が頭に思い浮かんだとのこと。

さいとう・たかをは、「責任とは何か」を教えてくれた東郷先生の名前を元に、デューク・東郷という主人公を考案したそうだ。

デューク東郷のルーツにまつわるエピソードはこれまで7つ登場しており、いずれも生い立ちが異なる。なぜ複数の生い立ちがあるのかというと、作者が言うには、「ウケるから」とのこと。そう、なんだ…。生い立ちについてはそれぞれ想像して楽しむいうことで。

参考:『ビーバップハイヒール』 2017年10月5日放送 『ゴルゴ13』の作者が語る!衝撃の真相!

作者のさいとう・たか(斎藤 隆夫)いわく、本作を書き出した当初は10話で終えるつもりで、最終回も考えてあるとのこと。最終回は右腕左腕だった2人のアシスタントのみ話したが、2人とも亡くなっており、原稿に書いていないため、最終回の案は作者の頭の中にしかない。

「それをやる(原稿に残す)と書けなくなるから」と紙に書き出すことはしていないそうだ。

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