このハンバーガーとコーラは世界で一番売れている
読み : コノハンバーガートコーラはセカイイチウレテイル
【目次】
「このハンバーガーとコーラは世界で一番売れている」とは
ネットでよく見かける「このハンバーガーとコーラは世界で一番売れている だから世界で一番美味いものに決まってるだろ」という画像。
ハンバーガーやコーラの話題はもちろん、食べ物の話題やそのジャンルで一番売れてる物の話題、果ては経済の話題などでよく貼られている画像である。
「このハンバーガーとコーラは世界で一番売れている」の元ネタ
よく見かける画像だが、一体何の漫画なのかは知らないという人は多いのではないだろうか。
これは、加藤元浩の推理漫画『Q.E.D. 証明終了』という作品のワンシーンである。
画像のシーンが出てくるのは単行本32巻に収録されている第63話『レッドファイル』というエピソード。
以下、多少のネタバレを含むので、これから読んでみたいという人はご注意。
ある銀行の会計士が殺害され、主人公・燈馬の知人である女性が銀行から殺人の疑いをかけられる。銀行の投資部門の部長は以前に保身のために迂回融資という違法な融資を行っており、その証拠となるファイルを被害者が持っていた。それを知人女性が盗み出し、抵抗されたので殺したのではというストーリー。
画像の男性は、部長が違法な融資を行った相手の天才投資家・月賀頼男(つきがよりお)という人物。
主人公の相棒・水原可奈が、調査のために月賀を訪ねたところ、メイドが「社長 お食事です」とハンバーガーとコーラを運んでくる。月賀のデスクの下にはゴミ箱いっぱいに詰まったハンバーガーの包み紙と空になったコーラのペットボトルが並んでいる。
そこでの二人のやり取りが以下のもの。
可奈:あの…食事は全部ハンバーガーとコーラなんですか?
月賀:もちろん このハンバーガーとコーラは世界で一番売れている だから世界で一番美味いものに決まってるだろ そんなこともわからんのか 素人が!
可奈:すいませんお金持ちの人はもっと高い物を召し上がってるのかと… お金はおいくら程持ってるんです?
月賀:今…140億くらいかな
可奈:ひゃくよ… もう一生遊んで暮らせるじゃないですか!
月賀:そうだな…あと100億儲けたら考えてもいいかな
最後の言葉は包み紙とペットボトルをバックに書かれており、どこか寂しそうな雰囲気を醸し出している。
件の台詞の後に「そんなこともわからんのか 素人が!」と言っていることから、月賀は冗談などではなく本気でこの言葉を言っていることがわかる。天才投資家・月賀は一言で言えば「変人」で、「金」や「食事」に対する感覚は常人とは違っている。
このエピソードでは「投資」や「先物取引」など、主に「金融」をテーマとしており、ラストでは「金融の世界を支配する怪物ってのは、際限のない欲望と無責任な自信」という台詞が出てくる。
月賀はそんな怪物に魅入られた1人で、資産を増やすことにしか価値を感じておらず、食には無関心なわけだ。わざわざこのシーンが見開きで表現されているのは、このエピソードのテーマが月賀の台詞に表現されているからではないだろうか。
ちなみに月賀はこのシーンにのみ登場し、以降はストーリーには絡んでこない。
月賀理論と論争
この「一番売れている」=「一番美味い」という理論。画像が貼られるとこの理論が正しいのかどうか議論になることがあったり、最初からこの理論について議論するスレが立つこともある。
例:「ハンバーガーとコーラは世界で一番売れてるから世界で一番美味いもの」←感情論抜きで論破できる? – ログ速
この理論でポイントなのは、「価格」についての問題がすっぽりと抜け落ちていることにある。たくさん売れるのは安いからであり、世の中の食べ物が全て同じ価格であればきっと別のものが一番売れることになるだろう。
また、「一番売れている」というのは客観的な事実であるが、「一番美味しい」というのは主観的な感想であるため、人によって「一番美味しい」かどうかは変わってくるという問題もある。
ただ一番売れているのだから、価格と味のバランスが良くて一番コスパが良く、商品としては一番優れている、とは言えるかもしれない。
この画像と理論はハンバーガーやコーラといった食べ物だけでなく、「ワンピースは一番売れてるから一番面白い漫画だ」「AKBのCDは一番売れてるから一番優れた音楽だ」などと様々なジャンルでの議論で持ち出されている。
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